十人が八十点を出せる状態=論理的一貫性のある組織にする。
そのための現状評価と、役割の整理。
| 状態 | 性質 |
|---|---|
| 十人のうち 一人だけが百点 |
阿吽の呼吸で汲み取れる人だけが評価される。その人が抜ければ、そこで止まる |
| 十人が 八十点 |
お題を渡せば、誰でも動ける。人が替わっても続く |
必要なのは能力開発だけでなく、論理的一貫性。個人を鍛えると同時に、目標と手順を合意し、ブレない形にする。
= 阿吽の呼吸で汲み取れる人(=一人の百点)が評価される組織を、なくすということ。
お題を渡せる組織にすることが、最初の一歩。
①②が「お題を渡す」、③④が「渡した後に動ける」、⑤が「止まらない」に対応している。
五つが揃うと、平均的な人が八十点を出せる。揃わないと、一部の人だけが百点を出し、ほかは動けない。
| 要件 | いまの状態 | 現れ方 |
|---|---|---|
| ① 目標が言語化されている | 部分的 | 定義はされている。ただし中長期のロードマップを踏まえた目標になり切っていない部署がある。経営レイヤーで、組織の方向性を描き切れていない |
| ② 手順が記録されている | 部分的 | 定義はされている。ただし守られていない。管理職層からの督促も行われていない |
| ③ 判断材料が届く | 未整備 | 届いていない。会議の質が低く、議事録も残っていない。ツールの習熟度の差と、受け取り方のばらつきも重なり、正しい情報が共有されない |
| ④ 決めてよい範囲が引かれている | 未定義 | 階層が定義されていない。オーナーからメンバーへの直接のやり取りを含め、権限委譲のあり方から再設計が要る |
| ⑤ 詰まったときの経路がある | 部分的 | 相談は上がる。ただし部署によっては、解き方を持ち合わせていない |
方向と権限は、いずれも経営レイヤーに起因する。組織の方向が描き切れていないこと(①)と、決めてよい範囲の線が引かれていないこと(④)。
手順・情報・経路は、その結果として起きている。手順を整えても、決定が後から覆れば守られない。情報を流しても、方向が定まっていなければ判断材料にならない。
だから現場の側だけを直しても、方向と権限が変わらない限り元に戻る。
※部署ごとの八項目評価は別紙 Appendix
断ち切るには、仕組みと文化の両方が要る。決め方(突き詰めてから決める)と、記録(経緯を残す)。詰めずに決めたものは、記録があっても覆る。
そのうえで、考えているという事実を尊重する文化が要る。速さではなく、突き詰めた深さが評価される状態。
これが、いま最も深刻な問題である。
| 部署 | オーナー層 | 管理職層 | メンバー |
|---|---|---|---|
| 1 企画 | 要定義担う範囲が未定義 | 要整備人員は確保済。役割がまだ定着していない | 要整備士気が低下している |
| 2 店舗 | 委譲済ただし委ねきるには不安が残る | 注意中間管理層が不在。人員不足 | 要整備育成の仕組みがない |
| 3 PR | 要委譲対外的な顔と、選任の責任を担う | 要整備信頼の回復が最優先 | 要整備メンバー間の関係に課題 |
| 4 バックオフィス | 委譲済 | 注意自部署の中だけで完結した改善に留まる。知見も不足 | 注意自部署の業務に終始 |
| 5 EC | 委譲済 | 機能管理職・実務の二名を採用予定 | 注意人員の拡充と育成が必要 |
| 6 生産管理 | 委譲済 | 注意企画遅延による圧迫 | 注意属人性が高い |
| 7 営業 | 委譲済 | 機能現状の継続で問題なし | 機能現状の継続で問題なし |
着手は上位層から、部署としては企画から。企画の遅れは、生産管理の調整負荷・商品投入の遅延・店舗の数字へと川下に累積する。
委譲は効いているが、店舗(中間管理層が不在)と生産管理(属人性が高い)には課題が残る。委譲は必要条件であって、十分条件ではない。
評価は 機能/注意/要整備 の三段階。オーナー層は 委譲済/要委譲/要定義。部署ごとの八項目評価・確認された事象・到達すべき状態は、別紙 Appendix に収めている。
前ページの四つは、この二層が担う。方向を描くのがオーナー層、それを基準・手順・情報・権限に落とすのが執行層。
権限委譲を進めることが、論理的一貫性への近道になる。オーナーが関わる領域は、その都度の判断で決まる。委譲された領域は、基準と手順で回る。委譲の範囲が広がるほど、論理で動く範囲が広がる。だから残すのは、再現性を求めるべきでない三領域だけに絞る。※オーナー層へ上がるのは、方向と権限の線引き、および残す三領域に関わる決定に限る。何を残すかは、これから決める
デザインの方向性と、その可否。代替が効かない領域。※商品計画(数量・投入時期・価格)は、仕組みと役割で担えるため委譲する
オーナー自身がブランドの対外的な顔になっている。業界人脈からの案件も個人に紐づく。金融機関・主要取引先との関係も同様。短期の引き継ぎが現実的でない。
所有に属する決定であり、そもそも委譲の対象ではない。
残す領域についても、判断はプロセスの中で行う。いつでも差し戻せる状態が残ると、現場は先を読んで動けない。
関与する範囲を決めることと、関与の仕方を決めることは、両方が必要である。
これは関与を減らす提案ではない。関与する範囲を絞り、そこに集中していただく提案である。
※ 上記は仮説である。実際に何を残すかを決めること自体が、最初の作業となる。
増やすことも減らすことも、この場で決めていただいてよい。
論理だけでは八十点は出ない。人が乗って初めて出る。執行するのは二人であり、私はその足場をつくる側に立つ。
※上段は二人で担う領域として置いている。辻さん・岡田さんの間の分担は、本人たちとの確認を経て決める。
| 領域 | オーナー層 | 執行 / 辻さん・岡田さん | 支える / 高田 |
|---|---|---|---|
| 方向を描く | 年間テーマを決める | 実行可能性を確かめ、無理なら戻す | 数字と構造から案を出す |
| 権限の線を引く | 残す三領域を決める | 線の中で決めさせる | 決裁範囲を設計する |
| 突き詰めて決める | 決める場に立ち、結論まで関わる | 現場から見た論点を、先に出す | 前提・選択肢・見直す条件を揃える |
| 決めたことを保つ | つくられた仕組みを尊重する | 現場の習慣にする | 記録と運用の型をつくる |
オーナー層に求めるのは、この二つだけである。判断すること、そして決めた形を守ること。現場に定着させるのは執行の二人、材料と型をつくるのは私の仕事になる。
※いま起きているのは、この二つ以外まで担っている状態。だから一つひとつを突き詰める時間がなくなり、決めた経緯も残らない(6ページ)。
| 変えていただきたいこと | いま起きていること | 変わること | |
|---|---|---|---|
| 01 | 決める領域と、委ねる領域を分けるオーナー層が必ず決める領域と、現場に委ねる領域を、一度リストで分ける | 線が引かれていないため、現場は決めてよいか分からず、まず確認しに行く | 判断の件数が減り、決めるべきことに時間を使える。委ねた領域の進行は、執行側で持つ |
| 02 | 決めたことを、その場で残す書き留めて、次の会議の冒頭で読み上げる | 経緯が残らないため、合意した事実が共有されず、結果の責任が現場側に見えてしまう | 「言った・言わない」がなくなる。変えたくなったら、その場で言えばよい——変えること自体は問題ない |
| 03 | 決める領域には、期限を設ける提案から二週間以内に、進める・進めない・条件付きで進める、のいずれかを返す | 返事が来ないため、企画が止まり、遅れが川下に累積する | 止まる案件がなくなる。01で件数が減っているので、守れる約束になる |
この三つは、いま経営の側だけで始められる。仕分けは一度やれば終わり、記録は会議の運用、期限は返事の約束である。
ただし実行されないのであれば、誰が入っても結果は同じになる。
現在、店舗はすでに委譲済だが、売上不振と人員不足により委ねきることへの不安が残っている。この局面は他部署でも生じる。
現場に直接伝えない。不安があるときは、指示ではなく質問の形で確認する——質問であれば、判断は責任者に残る。
差し込みを禁じるのではない。入れるなら、何かを出す。これがないと、年間で決めたことが形だけになる。
発案には責任者を明示する(経営自身でもよい)。置けないまま走ると、既存の目標に充てる時間が削られる。
バックオフィスの課題(効率化が削減と受け取られる・部門間連携が進まない)は、横断の方針が示されていないことに起因する。
支援するか、担当を見直すか。いずれかを選ぶ。放置すると信頼が回復しないまま時間が経つ。
これは、委譲する側の負担を増やす提案ではない。判断の件数が減った分、この五つを守る余裕が生まれる。※これは委譲した領域の話。残した領域では逆に深く関与していただく(16ページ)。委譲と関与の質は別の軸である。
問題は、相談が来ることではない。来た後の扱われ方である。
相談が上がったテーマには、結論が出るまで関わる。途中で離れると、決まらないまま止まる。
記憶ではなく記録に残す。残っていれば、次に同じ議論をせずに済む。※これは責任追及のための記録ではない
工程や期限を後から動かす場合は、決めた場に戻して、理由とともに変える。
委譲した領域で手を出さないことと、残した領域で深く関与することは、矛盾しない。どちらも「決めた形を守る」という一つのことである。
※ここで言う「残した領域」は、意匠・対外・資本の三領域に限らない。経営が関与するテーマ全般を指す。
いま解こうとしているのは判断が一箇所に集まる構造である。そこに新しい決定者を置くと、集まる先が移るだけになる。
やることは基準・手順・情報・権限・詰まりの経路の設計であり、いずれも役職がなくても実行できる。役職では、むしろ担保されない。
laminar は他社での経験を持ち込むことで価値を出している。一社の内部に入ると、その前提が変わる。
関与を薄くする提案ではない。むしろ、設計に集中するための形である。
※具体的な契約の形(期間・稼働・報酬)は、別途ご相談させていただきたい
決める領域と委ねる領域を分ける/決めたことをその場で残す/期限を設ける。この三つを始めるかどうか。
仕分けの作業は、一度やれば終わる。着手の日だけ決まれば動き出せる。
叩き台をつくる人と、決める人を分ける。叩き台の作成は引き受けられる。
この資料は、私を迎えるかどうかを決めていただくためのものではない。
まず、オーナー層の側だけで始められることがある。それが先にある。